館長 片桐奈保美からのメッセージ
50年前、夫の同僚の奥さんがデンマーク刺しゅうを刺しているのを見て、興味を持ち始めました。もともと編み物が好きで、子どものセーターなどは編んでいましたから、会社の出張で東京に出かけた際、麻布、糸、本を買ってきて早速始めました。
誰の手ほどきも受けず、ほぼ独学です。
刺しゅうをするのはもっぱら夜。刺しゅうはストレス解消になりました。
作品が増えていくと家に飾るスペースがなくなり、刺しゅうだけを飾る館を作ることにしました。私の仕事が住宅建設でしたから、自分の設計で「刺しゅうだけを常設展示する城」が造りたかった。
皆さんにもっとデンマーク刺しゅうに親しんで欲しい。北欧の伝統ある刺しゅうがもっと広がってほしいと思っています。
刺しゅう館の由来
刺しゅう館は株式会社「アトリエ・ジャム」(片桐奈保美社長)が運営しています。
ジャムとはジャパン・アート・ミュージアムの略。建物は一級建築士である片桐奈保美自身が設計しました。
中央の大理石の大きな階段は「風と共に去りぬ」の一場面を思い起こさせます。その階段を中心に約300点の刺しゅうが森のように広がっています。
刺しゅうを鑑賞するだけの展示館は世界でも珍しいそうです。
デンマーク刺しゅうとは
デンマーク刺しゅうは麻布と草木染めの糸で細かくひと針ひと針刺します。
1センチの中に10目ほど入っていて、草木染めの糸は光沢がなく、布に刺すと押し花のようなきれいな色合いを出し、しかもシックな出来栄えになります。
夜の長い北欧で生まれた伝統ある刺しゅうです。
フランス刺しゅうのように丸い輪にはめて刺すのではないので、小さくたたみどこでも持ち運べ、どこでも簡単に刺すことができます。
2023年 夏